第6回研究大会 開催のご案内

 本学会の掲げるグローバル・ガバナンスの概念は、1990年代初めに提起され、早いもので20余年が経過しました。当初は斬新であった概念も、すでに学術研究と実践の現場で定着し、数々の研究上・実践上の成果に結実しており、同時に、その限界も垣間見せています。この概念は、たとえ一般的概念として提示されていても、やはり冷戦終結直後の時代状況と思想を深く刻印していたと思われます。それは、今日の国際社会や国内政治経済の現実の分析、課題への対応にも、依然として有効なのかどうか。新たな現象を包括的に捉え、その本質を鋭く照射するには、概念の運用や分析方法、さらには概念自体や理論的枠組みを再吟味し、今日的な観点から再構築する必要があるのかもしれません。
 そこで第6回研究大会では、共通論題として「グローバル・ガバナンス論の再構築」を掲げ、理論と現象の双方の観点から多角的に考察する機会を設けます。また、部会「規範研究の分析射程―課題と展望―」では、新たな理論的動向を受けとめた研究を検討し、部会「『保護する責任』をめぐる国際社会の論理と現地の論理―紛争対応のグローバル・ガバナンスの模索―」、および部会「経済制裁とグローバル・ガバナンス」では、今日的な課題に対応した国際規範とその遵守をめぐって、実態的な議論を展開します。特に後者の部会は、海外から著名な研究者を招いて、シンポジウム形式で開催いたします。自由論題においても、極めて斬新な議論が提示されるようです。
 研究大会は、会員各位が研究上の自由な対話や交流を展開できる場であり、新たな研究の刺激や着想の芽生える場でもあると思われます。ご多用のことと存じますが、会員各位の積極的なご参加をお願い申し上げます。

グローバル・ガバナンス学会会長   大矢根 聡

▼ 日時:2015年4月18日(土) 10:00 ~

▼ 会場:南山大学(名古屋キャンパス)

▼ 大会プログラムPDF版 日本語プログラム English Program

▼ 大会プログラム概要

  • 部会Ⅰ:『保護する責任』をめぐる国際社会の論理と現地の論理―紛争対応のグローバル・ガバナンスの模索―(10:00~12:00)
     司会:南山淳(筑波大学)
     ・ 大庭弘継(南山大学) 「未完に終わる『責任』―思惑のズレ―」
     ・ 小松志朗(早稲田大学) 「保護する責任の相対化―介入国の論理と行動、その結果―」
     ・ 中内政貴(大阪大学) 「紛争の国際化と保護する責任
      ―ユーゴ紛争の当事者の視点から―」
     討論者:千知岩正継(北九州市立大学)
  • 部会Ⅱ:自由論題(10:00~12:00)
     司会:稲葉千晴(名城大学)
     ・ 玉井良尚(立命館大学) 「国際政治における戦争と水―湾岸戦争における
      アメリカ軍の軍事戦略からの考察―」
     ・ 望月裕太(横浜市立大学) 「ネットワークの諸相―ネットワーク構造体と
      その集合的作用についての一考察―」
     討論者:菅英輝(京都外国語大学)、近藤敦(立命館大学)
  • 部会Ⅲ:経済制裁とグローバル・ガバナンス(13:30~15:30)
     司会:TSUBOUCHI, Jun(山梨大学)
     ・ BIERSTEKER, Thomas J.(ジュネーブ高等国際開発研究院)
      ”Economic Sanctions and Global Governance: overview”
     ・ DEGILA, Delidji Eric(リヨン第三大学) ”United Nations Sanctions in Africa”
     ・ YAMAMOTO, Takehiko(早稲田大学) 
      ”Why UN sanctions against the DPRK don’t work?”
     ・ TAMAI, Masataka(立命館大学)
      ”Economic Sanction and Ukrainian Conflict-How European States
      did and How Russia response”
  • 部会Ⅳ:規範研究の分析射程-課題と展望―(13:30~15:30)
     司会:奥迫元(早稲田大学)
     ・ 臼井陽一郎(新潟国際情報大学) 「EUの対外行動にみる規範政治の諸相
      ―クロスボーダー協力による近隣政策を事例に―」
     ・ 塚田鉄也(同志社大学) 「人の移動の安全保障化と難民の保護」
     ・ 阿部悠貴(熊本大学) 「規範のジレンマと国際機構の発展
      ―ボスニア内戦へのNATOの介入を事例に―」
     討論者:西谷真規子(神戸大学)
  • 共通論題:グローバル・ガバナンス論の再構築(15:45~17:45)
     司会者:福田耕治(早稲田大学)
     ・ 古城佳子(東京大学) 「グローバル・ガバナンス再考
      —国際制度の視点から」
     ・ 足立研幾(立命館大学) 「グローバル・ガバナンス論再考
      ―規範研究の視点から」
     ・ 杉浦章介(慶應義塾大学) 「トランスナショナル・ガバナンスと
      法の支配」
     討論者:渡邉啓貴(東京外国語大学)
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