第7回研究大会 開催のご案内

 向秋の候、会員各位におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。グローバル・ガバナンス学会第7回研究大会を、下記のように筑波大学・筑波キャンパスにて2015年9月26日(土)に開催いたしますので、そのプログラムをお届けいたします。
 第7回研究大会の内容は多様ですが、あえて簡潔にまとめるならば、国際秩序・国際規範の「形成論を超えて」というテーマになろうかと思います。周知の通り、各国の社会や国際社会には、実に様々な懸案や課題があり、それに伴う混乱や軋轢は容易には解消しません。そのためか、研究者は問題の解決や安定化を展望しつつ分析を進めがちで、必然的に一定の発展イメージなり進歩史観を念頭に置きがちのようです。とりわけ国際秩序や規範、制度などを論じる際には、それらの形成過程として現象を描きだし、そこにみられる因果関係を導出し、明確化しようと尽力します。
 ですが、多くの現象は単線的な発展を遂げず、一定の国際秩序・規範の成立をもって 事態が決着するわけではありません。幾度も後退や混乱が生じ、想定外の新たな事態に直面せざるをえません。その際には、従来対応できていなかった問題や、従前の秩序・規範の内在的限界が露呈してしまいます。しかしそれは、秩序や規範の新たな展開につながるような現象、同時に研究上も興味深い素材を発見できる好機でもあります。それを視野に入れ直し、新たな観点から因果関係を再構築するのは、研究上の知見を拡張する刺激的な試みになるはずです。
 第7回研究大会では、共通論題「トランスナショナルな脅威に対する安全保障」においてISや海賊、サイバーテロや自然災害といった、従来の国家間協力では対応が容易でない、安全保障上の新たな問題群をとりあげます。それでもなお可能な国家間協力、国家以外のプレーヤーとの協働はどのようなものか。現在進行中の現象を踏まえて、従来の枠を超える議論の手がかりを摸索します。また部会「突発事態が地域ガバナンスに及ぼす影響」も斬新な内容であり、形成されていた地域ガバナンスが、突発的な事件や現象によって大きく揺さぶられる現象、また従来は有効だったガバナンスの構成要素が見直される状況を問います。部会「ポスト2015年の開発ガバナンス」においては、ミレニアム開発目標の次の段階について、国連や各国でどのような構想が浮上しつつあるのか。環境や南南協力の次元も加えて、新たな動きを多角的にとらえます。
 今回も日本公益学会に協力を賜り、研究大会を共催いたします。そのため、上記の共通論題・部会とも密接にかかわる安全保障文化の主要国比較、また女性の活躍やスポーツといった興味深い政策分野の動向、秩序や規範の前提となる住民参加の諸問題についても、セッションをお聞きいただけます。
 ご多用とは存じますが、ぜひとも研究大会に参加いただき、議論を交わしていただき、研究上の対話や交流が深まりますこと、それらが皆様のご研究を進める一助になりますことを願ってやみません。

グローバル・ガバナンス学会会長     大矢根 聡

▼ 日時:2015年9月26日(土) 10:00 ~ 18:30

▼ 会場:筑波大学筑波キャンパス・総合研究棟A/3A棟

▼ 大会プログラムPDF版  日本語プログラム  English Program

▼ 大会プログラム概要

  • 部会Ⅰ:突発事態が地域ガバナンスに及ぼす影響(10:00~12:00)
     司会:鈴木早苗(アジア経済研究所)
     ・ Sfoug Alshammary(立命館大学) ”Energy Stability in Arabian Gulf Post – Arab
      Uprisings, Shale Oil Revolution and U.S. Withdrawal Era”
      討論者:中村覚(神戸大学)
     ・ 山本直(北九州大学) 「葛藤の中のEU安全対策」
      討論者:安江則子(立命館大学)
     ・ 杉木明子(神戸学院大学) 「アフリカにおける海賊問題と『海洋ガバナンス』」
      討論者:佐藤誠(立命館大学)
  • 部会Ⅱ:ポスト2015年の開発ガバナンス(13:30~15:30)
     
    司会:上村雄彦(横浜市立大学)
     ・ 高柳彰男(フェリス女学院大学) 「ポスト2015/持続可能な開発目標(SDGs)
      プロセスにおける争点」
     ・ 伊藤丈人(青山学院大学) 「MDGsからポスト2015に向けた論点整理
      ―環境と障害分野に注目して―」
     ・ 下村恭民(法政大学) 「『新興ドナー』の台頭と国際開発規範形成過程の変容
      ―南南協力取り込みのレトリックと実利追求」
     討論者:山本吉宣(新潟県立大学)
  • 共通論題:トランスナショナルな脅威に対する安全保障(15:45~17:45)
    *日本公益学会との共催
     
    司会:大矢根聡(同志社大学)
     ・ 酒井啓子(千葉大学) 「動乱の中東を域内関係から読み解く」
     ・ 竹田いさみ(獨協大学) 「海賊を中心に」
     ・ 土屋大洋(慶應義塾大学) 「共有空間としてのサイバースペースの安全保障」
     ・ 丸茂雄一(専修大学) 「大規模自然災害―スマトラ沖地震とその後の展開」
     討論者:山本武彦(早稲田大学)
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